2016年3月2日に、東京都の葛飾区で、所有者が判明しているケースとしては、全国初となる行政代執行による、空家の強制解体が行われました。
「解体工事.com(解体.com)」へも、解体しないと、強制撤去されるから、解体工事の見積りを依頼をしたいという問合せを何件も頂いていました。
このニュースは、単に、迷惑空家が取り壊された。という一つのニュースではなく、全国の放置空家が撤去されだす引き金になるニュースだということをご理解頂きたいと思います。
全国初だから、ニュースになったのですが、これからは、ニュースにもならず、全国の自治体の担当者の判断で、放置空家は、次々と解体していかれることになります。
というのは、平成27年2月から施行された空き家対策特別措置法により、放置することで、安全上・衛生上・景観上、問題がある空き家に対して、「特定空家等」として、自治体の責任で、管理するよう求められました。
それ以降、地方自治体は、放置空き家に対して、本腰を入れて、様々な取組みを始めました。
例えば、空き家バンク制度や、空き家活用コンテストです。様々な空家活用の取り組みを行う一方、放置することで、近隣住民に迷惑を及ぼす可能性のある放置空家に対する最終手段が、「行政代執行」という強制撤去です。
周辺住民等に迷惑をかけている場合に、行政は、所有者に何度も撤去するよう通知や命令をしますが、所有者がそれでも従わない場合、行政が、所有者に代わって、第3者に解体・撤去を行うよう委託し、その費用を所有者に請求するという仕組みです。
その費用を支払わない場合、国税滞納の場合と同様の徴収方法で、費用請求されることになります。
国税の滞納に対する取り立ては、個人的な感覚では、最も厳しく、銀行等では、
「利子だけ払うから、ちょっと待って」
という交渉は出来るのですが、国税の場合には、交渉の余地がありません。
もちろん、テレビドラマのように、住んでいるところに取立人が、朝も昼もなく来て、「金返せー。ドンドンドン」としている奥で、家族で震えている。
というようなことはありません。しかしながら、そのような取り立てはない代わりに、支払いがあるまで、粛々と、財産差し押さえの手続きがとられます。
財産差し押さえというのは、全ての財産に、赤札が貼られ、強制的に所有権をはく奪されることです。
空家の放置に対しては、居住用建物に対する固定資産税の減免措置をなくすという措置に
より、固定資産税が6倍近くになるようなペナルティーも考えられていますので、早めに対応していくことをお勧めします。