「アスベストレベル3なら、特別な届出は不要だと聞いていたのに…」
解体工事を初めて担当することになったAさんは、業者から「今回の工事では、届出が必要ですよ」と告げられ、頭が真っ白になりました。「レベル3は届出がいらないんじゃなかったの?一体どっちが本当なんだ?知らないうちに法律違反になっていたらどうしよう…」と、急に大きな不安に襲われました。
あなたも今、Aさんと同じような混乱や不安を感じているのではないでしょうか。
ご安心ください。その疑問、この記事で完全に解決できます。結論から言うと、アスベストレベル3の解体工事では、一般的にイメージされる厳しい届出の多くは不要ですが、絶対に忘れてはならない2つの重要な手続きが存在するのです。
この記事を最後まで読めば、あなたはもうアスベストレベル3の届出で迷うことはありません。自信を持って、正しく工事を進められるようになります。
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【結論】アスベストレベル3の届出は原則不要、ただし必須の2手続きあり
アスベストレベル3の解体工事では、大気汚染防止法や石綿障害予防規則で定められている、厳しい届出の多くは原則として「不要」です。しかし、これは「全く何もしなくて良い」という意味ではありませんので注意が必要です。
なぜレベル3だけ届出の扱いが違うのでしょうか。その理由は、アスベストの「発じん性」、つまり粉じんの飛び散りやすさの違いにあります。
レベル1・2のアスベスト:
吹付け材など、綿のように柔らかい形状で、解体作業時にアスベスト繊維が大量に飛散するリスクが非常に高いものです。そのため、労働基準監督署や都道府県への厳しい届出が義務付けられています。
レベル3のアスベスト:
石膏ボードやPタイルなど、固い建材の中にアスベストが練り込まれている状態です。手作業で丁寧に解体すれば、レベル1・2に比べて飛散のリスクは比較的低いとされています。
この発じん性の違いから、法律上の届出義務の重さが異なっているのです。
[🎨 イラスト・図解提案: {アスベストレベル1,2,3の危険度と、それぞれに必要な届出(計画届、特定粉じん排出等作業実施届出書、事前調査報告、建リサ法届出)の要否をアイコン付きで視覚的に比較するインフォグラフィック。レベル1・2には「危険!」マーク、レベル3には「注意」マークを付けるなど、直感的に違いがわかるデザインにする}]
アスベストレベル別 届出義務の比較表
届出の種類 | レベル1・2(発じん性が著しく高い) | レベル3(発じん性が比較的低い) |
---|---|---|
工事計画届(労働基準監督署) | 必要 | 不要 |
特定粉じん排出等作業実施届出書(都道府県など) | 必要 | 不要 |
石綿事前調査結果の報告(労働基準監督署) | 必要(条件あり) | 必要(条件あり) |
建設リサイクル法の届出(都道府県など) | 必要(条件あり) | 必要(条件あり) |
この表を見ると分かる通り、レベル3の解体工事で絶対に確認しなければならないのは、下の2つです。
- 石綿事前調査結果の報告
- 建設リサイクル法の届出
つまり、アスベストレベル3の届出で悩んだら、この2つの手続きについて正しく理解することが最も重要なポイントとなります。次の章から、それぞれの届出について、誰が・いつまでに・何をすべきか、具体的に解説していきます。
【必須①】石綿事前調査結果の報告|2022年法改正の最重要ポイント
アスベストレベル3の工事で、以前は不要だった手続きが法改正によって義務化され、最も注意が必要になったのが「石綿事前調査結果の報告」です。
2022年4月1日から、アスベストの有無にかかわらず、一定規模以上の解体・改修工事を行う前には、その調査結果を労働基準監督署長および都道府県知事等へ電子システムで報告することが法律で定められました。これは、発注者または元請事業者の義務であり、知らないうちに法令違反を犯してしまうリスクがあるため、正確な理解が不可欠です。
[🔗 外部リンク: 厚生労働省 “石綿総合情報ポータルサイト 石綿事前調査結果の報告”]
報告義務の対象となる工事規模とは?
事前調査結果の報告が義務付けられるのは、以下のいずれかに該当する工事です。規模の大きな工事はほぼすべてが対象となると考えておきましょう。
報告が必要な工事の規模
- 建築物の解体工事: 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上
- 建築物の改修工事: 請負代金の合計額が100万円以上(消費税込み)
- 工作物の解体・改修工事: 請負代金の合計額が100万円以上(消費税込み)
ステップで解説!報告の方法と流れ
報告は、厚生労働省が管轄する「石綿事前調査結果報告システム」を利用して、オンラインで行うのが原則です。手続きの流れは以下の3ステップです。
[🎨 イラスト・図解提案: GビズIDの取得から報告完了までの3ステップを図解したフローチャート]
ステップ1:GビズIDを取得する
まず、報告システムの利用に必須の「GビズID」を取得します。
取得には申請から2〜3週間程度かかる場合があるため、解体工事の計画が持ち上がった段階で、早めに手続きを進めておくことを強くおすすめします。
ステップ2:石綿事前調査結果報告システムへログインする
GビズIDの準備ができたら、「石綿事前調査結果報告システム」の公式サイトへアクセスし、ログインします。
[🔗 外部リンク: 厚生労働省 “石綿事前調査結果報告システム”]
ステップ3:必要事項を入力して報告を完了させる
システムにログイン後、画面の指示に従って以下の情報を入力します。
- 工事の基本情報(名称、場所、期間など)
- 発注者、元請事業者の情報
- 事前調査の結果(アスベストの有無、建材の種類など)
- 調査を行った者の氏名や所属機関
すべての入力が完了し、報告ボタンを押せば手続きは完了です。
提出期限と罰則
手続きの期限と、怠った場合の罰則は法律で厳しく定められています。
- 提出期限: 工事を始める前まで
- 罰則: 報告を怠った場合や、虚偽の報告をした場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。(石綿障害予防規則 第67条)
調査自体も義務です
ここまで「調査結果の報告」について解説してきましたが、大前提として、すべての解体・改修工事では規模の大小を問わず「アスベストの事前調査」そのものが義務付けられています。
報告義務がない小さな工事でも、調査をせずに工事を進めることは法令違反となります。調査の方法や資格者、費用の相場については、以下の記事で詳しく解説していますので、必ずご確認ください。
参考記事: 解体工事時のアスベストの事前調査・報告が義務化!必要な資格と罰則は?
参考記事: アスベスト調査費用相場を徹底解説。適正価格で安心の業者選びまで
【必須②】建設リサイクル法の届出|対象工事と提出先
アスベストレベル3の解体工事で、「石綿事前調査結果の報告」と並んで絶対に忘れてはならないのが、「建設リサイクル法」に基づく届出です。
この届出は、アスベストの有無とは関係なく、建物の解体などで発生するコンクリートや木材といった建設資材を適切にリサイクルし、廃棄物を減らすことを目的としています。特定の規模以上の工事を行う場合に、発注者(施主)に義務付けられている重要な手続きです。
届出が必要な工事の種類と規模
建設リサイクル法の届出は、すべての工事で必要なわけではありません。「対象建設工事」と呼ばれる、以下の条件に当てはまる工事を行う場合に届出義務が発生します。
届出が必要な「対象建設工事」
- 建築物の解体工事: 床面積の合計が80㎡以上のもの
- 建築物の新築または増築工事: 床面積の合計が500㎡以上のもの
- 建築物の修繕・模様替等工事(リフォームなど): 請負代金の額が1億円(税込)以上のもの
- その他の工作物に関する工事(土木工事など): 請負代金の額が500万円(税込)以上のもの
誰がどこに いつまでに出すの?
届出の対象となる工事だと分かったら、次は具体的な手続きです。「誰が、どこに、いつまでに」提出するのか、以下の表で正確に把握しておきましょう。
建設リサイクル法 届出の概要
項目 | 内容 | 補足説明 |
---|---|---|
届出義務者 | 発注者(施主) | 法律上の義務は発注者にあります。 |
提出先 | 工事現場を管轄する都道府県または市区町村の担当窓口 | 自治体によって窓口(建築指導課など)が異なるため、事前にホームページなどで確認が必要です。 |
提出期限 | 工事着手の7日前まで | 期限を過ぎると工事を開始できず、工期が遅れる原因になります。 |
届出をしないとどうなる?
もし建設リサイクル法の届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、どうなるのでしょうか。
法律では、20万円以下の罰金が科されると定められています。しかし、リスクはそれだけではありません。
- 工事の遅延: 届出が受理されるまで工事を始めることができず、工期全体に遅れが生じます。
- 行政からの指導: 自治体から指導や命令を受ける可能性があり、企業の信頼問題にも関わります。
- 業者とのトラブル: 届出の不備が原因で発生した損害について、業者とトラブルになるケースも考えられます。
こうしたリスクを避けるためにも、届出は法律で定められた重要な義務であると認識し、確実に行うことが不可欠です。
外部リンク: 環境省「建設リサイクル法の概要」
レベル3の届出に関するQ&A|みなし判定・計画書もスッキリ解決
Q. レベル3で「不要」になる届出は具体的に何ですか?
- 特定粉じん排出等作業実施届出書: 大気汚染防止法に基づき、都道府県知事などへ提出する届出です。
- 工事計画届: 労働安全衛生法に基づき、労働基準監督署長へ提出する届出です。
これらの届出は、アスベスト繊維が大量に飛散するリスクが高い作業を対象としています。レベル3は比較的そのリスクが低いとされているため、提出が免除されています。ただし、前述の「石綿事前調査結果の報告」と「建設リサイクル法の届出」は必要になるケースがあるため、混同しないように注意しましょう。
Q. 「みなし判定」の場合、届出は変わりますか?
- 石綿事前調査結果の報告
- 建設リサイクル法の届出
これらの義務は、通常通り対象工事の規模に応じて発生します。「みなしだから報告は不要」ということにはならないので、ご注意ください。
Q. 作業計画書の作成や提出は必要ですか?
- 作業の方法と順序
- アスベストの飛散防止策(湿潤化など)
- 作業員の保護具の使用方法
- 廃棄物の処理方法
この計画書を作成し、内容を現場の作業員全員に周知徹底することで、安全な工事を実現します。届出が不要なレベル3であっても、安全管理の意識はレベル1・2と変わらず重要です。
Q. 自治体独自のルール(横出し条例)はありますか?
【専門家が解説】届出ミスによる罰則回避!失敗しない解体業者選び3つのポイント
アスベストレベル3に関する届出は、法改正も絡んで非常に複雑です。ここまで読んで、「自分一人で全てを正しく行うのは不安だ…」と感じた方も多いのではないでしょうか。
実際、必要な手続きを漏れなく、かつスムーズに進めるためには、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。そこでこのセクションでは、年間数百件の解体工事をサポートする「解体工事.com」の視点から、届出のミスを防ぎ、安心して工事を任せられる優良な解体業者を選ぶための3つの重要なポイントを解説します。
ポイント1:最新の法改正と実務に精通しているか
アスベスト関連の法律は、数年おきに大きな改正が行われます。特に2022年4月から始まった石綿事前調査結果の報告義務化は、記憶に新しいところです。
優良な業者は、国の法律はもちろん、自治体が独自に定める「横出し条例」のような地域ごとのルールにも精通しています。
打ち合わせの際に、「2022年の法改正について、御社ではどのように対応していますか?」といった具体的な質問を投げかけてみましょう。明確で分かりやすい回答が得られるかどうかが、業者を見極める一つの基準になります。
ポイント2:事前調査から届出・処分まで一貫して任せられるか
アスベストを含む解体工事は、以下のように多くの工程に分かれています。
アスベスト関連工事の主な工程
- 事前調査: アスベストの有無を調べる
- 各種届出: GビズIDでの報告や建設リサイクル法の届出など
- 除去・解体作業: 法令に則った適切な作業
- 廃棄物処理: 適正な処理施設への運搬・処分
これらの工程を別々の業者に依頼すると、情報の伝達ミスが起きたり、トラブル発生時に責任の所在が曖昧になったりするリスクが高まります。
ポイント3:複数の見積もりで適正価格を比較検討できるか
アスベスト関連工事には「定価」というものが存在せず、費用は業者によって大きく異なります。そのため、1社だけの見積もりで安易に契約してしまうのは非常に危険です。
高すぎる見積もりで損をする可能性があるのはもちろんですが、逆に「安すぎる見積もり」にも注意が必要です。
チェック項目 | A社 | B社 | C社 |
---|---|---|---|
事前調査費用 | 〇〇円 | 〇〇円 | 〇〇円 |
届出の代行費用 | 見積もりに含む | 別途請求 | 見積もりに含む |
除去・解体費用(内訳) | 詳細な記載あり | 「一式」のみ | 詳細な記載あり |
廃棄物処理費用 | 〇〇円/㎥ | 〇〇円/㎥ | 〇〇円/㎥ |
合計金額 | 〇〇円 | 〇〇円 | 〇〇円 |
面倒でも必ず2~3社から見積もりを取り、金額だけでなく、作業内容や届出の範囲までをしっかり比較検討することが、適正価格で信頼できる業者を見つけるための最も確実な方法です。
とはいえ、信頼できる業者を複数探し出し、一社ずつ連絡して見積もりを取るのは大変な時間と労力がかかります。そんな時は、「解体工事.com」のような一括見積もりサービスを活用することで、手間をかけずに優良な専門業者を比較検討できます。
まとめ:アスベストレベル3の届出は専門家と進めれば安心です
本記事では、アスベストレベル3の解体工事における届出について解説しました。改めて、最も重要なポイントをまとめます。
- 原則不要な届出: 労働基準監督署への「工事計画届」や、都道府県への「特定粉じん排出等作業実施届出書」は不要です。
- 条件付きで必須の届出:
- 石綿事前調査結果の報告: 一定規模以上の工事では、GビズIDを使った電子報告が義務付けられています。
- 建設リサイクル法の届出: 対象となる解体工事では、発注者自身が都道府県へ届け出る必要があります。
近年の法改正により、アスベストに関する発注者の責任はますます重くなっています。しかし、正しい知識を持ち、経験豊富な専門家と連携すれば、何も心配することはありません。
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