内装解体許可の全てが分かる。知らないと損する許可・届出と罰則 | 解体工事.com

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内装解体許可の全てが分かる。知らないと損する許可・届出と罰則

手続きの種類どんな工事で必要になる?(あなたの工事はどれに該当?)誰が手続きする?(発注者・業者の役割)特に知っておくべきポイント
① 建設業許可工事費が税込500万円以上の場合【工事業者】 が取得
※発注者は許可の有無を確認する義務あり
500万円未満は原則不要。
契約を分割しても合計金額で判断される。
② 解体工事業登録工事費が税込500万円未満の解体工事の場合【工事業者】 が登録
※発注者は登録の有無を確認する義務あり
建設業許可(解体工事業など)を持つ業者は不要。
無許可・無登録業者への依頼は違法。
③ 建設リサイクル法の届出解体する部分の床面積が80㎡以上の場合【原則、発注者】
※業者が委任を受けて代行するのが一般的
工事着手の7日前までに届出が必要。
届出を怠ると発注者にも罰則のリスクがある。

店舗の原状回復で内装解体許可が必要か調べているものの、「建設業許可」や「解体工事業登録」など種類が多く、結局どの許可が自分の工事に必要なのか分からずお困りではありませんか。工事費が500万円を超えると手続きが変わると聞いても、具体的に何を確認すれば良いのか、また無許可の業者に依頼して工事が中断するなどのトラブルは絶対に避けたいとお考えのことでしょう。

結論から言うと、内装解体で必要な許可や届出は、主に工事費500万円(税込)を境に変わります。具体的には、500万円以上の工事では「建設業許可」が、500万円未満でも「解体工事業登録」が必要なケースがあり、さらに床面積80㎡以上の解体では「建設リサイクル法の届出」も求められます。

これらの許認可は、工事の安全性を確保し、廃棄物を適正に処理するために法律で定められています。そのため、「知らなかった」では済まされず、無許可業者に依頼してしまうと、発注者自身も工事の中断や罰則といった重大なリスクを負う可能性があるのです。

この記事では、複雑な内装解体の許可制度について、あなたの工事では何が必要で、誰が手続きを行うべきかを、図や表を交えて分かりやすく解説します。さらに、無許可業者を見分ける方法や、信頼できる優良業者を選ぶための具体的なチェックポイントまで網羅しています。

最後までお読みいただければ、法的なリスクを確実に回避し、安心して工事を任せられるパートナーを見つけるための知識が身につき、スムーズな店舗の原状回復を実現できます。

  • 内装解体に必要な3つの主要な許可・届出(建設業許可・解体工事業登録・建設リサイクル法)の全体像
  • 工事費500万円(税込)を基準とした「建設業許可」の要否を判断する方法
  • 500万円未満の工事で必要になる「解体工事業登録」の概要
  • 発注者の義務である「建設リサイクル法」の届出が必要になる条件
  • 無許可業者に依頼した場合の具体的な罰則と発注者が負うリスク
  • 許可や届出は「誰が・いつ・どこに」行うべきかという役割分担
  • 失敗しない優良な解体業者の見極め方と許可番号の確認方法
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内装解体許可の全体像を3つのポイントで解説

内装解体工事を進める上で、主に「建設業許可」「解体工事業登録」「建設リサイクル法の届出」の3つの法的な手続きが関係してきます。これらの許可や届出は、工事の規模や種類によって必要性が異なり、法律で定められた義務だからです。

例えば、商業テナントをスケルトンに戻す内装解体工事では、その工事の請負金額が500万円(税込)を超えるかどうかで「建設業許可」の必要性が変わります。また、500万円未満の解体工事であっても「解体工事業登録」が必要になる場合があります。さらに、解体する部分の床面積が80平方メートル以上の場合には、発注者自身に「建設リサイクル法」に基づく届出が義務付けられています。

手続きの種類概要関連する法律主なポイント
建設業許可一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な許可建設業法工事金額500万円(税込)以上で必要
解体工事業登録500万円未満の解体工事を行う事業者が、都道府県知事に登録するもの建設リサイクル法建設業許可(解体)がない場合で、500万円未満の解体工事で必要
建設リサイクル法の届出対象となる解体工事の前に、発注者が分別解体等の計画を届け出るもの建設リサイクル法解体部分の床面積80平方メートル以上で発注者に届出義務あり

これらの手続きを怠ると、罰則が科される可能性もあるため、ご自身の工事がどの条件に当てはまるかによって、必要な手続きを事前に確認することが非常に重要です。この後のセクションで、それぞれの許可や届出について詳しく解説していきます。

建設業許可の要否は工事金額で決まる

内装解体工事で「建設業許可」が必要になるかどうかは、基本的に「工事1件の請負代金の額(税込)」が500万円以上であるかどうかで判断されます。なぜなら、建設業法では、社会的な影響が大きい一定規模以上の工事について、その適正な施工を確保し、発注者を保護する目的で、工事を請け負う業者に対して許可の取得を義務付けているためです。

具体的には、テナントの原状回復工事の見積金額が消費税込みで500万円以上になる場合、その工事を請け負う業者は「建設業許可」を持っている必要があります。例えば、見積もりが550万円であれば許可が必要ですが、450万円であれば原則として建設業許可は不要です。ただし、材料を発注者が提供する場合、その材料費も請負代金に含めて考える必要があるケースもあるため注意が必要です。もし見積金額が税込で500万円以上なら、必ず業者に建設業許可の有無(許可番号や許可の種類)を確認しましょう。

工事1件の請負代金額(税込)建設業許可の要否備考
500万円以上必要業者は「解体工事業」または「内装仕上工事業」などの建設業許可が必要
500万円未満不要ただし、後述する「解体工事業登録」が必要な場合があります。また、契約を複数に分割して500万円未満に見せかけることは法律違反となります。

500万円未満の場合は、この建設業許可は必須ではありませんが、次に説明する「解体工事業登録」が必要になる場合があります。

500万円未満の工事でも解体工事業登録は必要

工事の請負金額が500万円未満で建設業許可が不要な場合でも、解体工事を行う際には「解体工事業登録」という別の手続きが業者に求められることがあります。これは、建設リサイクル法に基づき、比較的小規模な解体工事であっても、廃棄物の適切な分別解体や再資源化を促すため、解体工事を行う業者は都道府県知事への登録が義務付けられているからです。

例えば、小規模な店舗の内装を部分的に解体する工事で、費用が300万円だったとします。この場合、建設業許可は不要ですが、その業者が建設業許可(解体工事業)を持っていなければ、「解体工事業登録」をしている必要があります。この登録は、解体工事を行う現場の都道府県ごとに行う必要があり、営業所ごとに一定の技術的管理者(実務経験者や有資格者)を置かなければならないという要件があります。

もし依頼しようとしている業者が建設業許可(解体工事業)を持っていれば、この解体工事業登録は別途必要ありません(建設業許可に業務範囲が含まれるため)。しかし、建設業許可(解体工事業)を持たず、かつ500万円未満の解体工事を専門に行っている業者の場合は、この解体工事業登録の有無を確認することが重要です。

項目建設業許可(解体工事業)解体工事業登録
対象工事金額主に500万円(税込)以上の解体工事500万円(税込)未満の解体工事
根拠法建設業法建設リサイクル法
許可・登録の主体国土交通大臣または都道府県知事工事を行う場所の都道府県知事
技術管理者の要件専任技術者(一定の資格や実務経験)が必要技術管理者(一定の資格や実務経験)が必要
登録の必要性これがあれば500万円未満の解体工事も可能(解体工事業登録は不要)建設業許可(解体工事業)がない場合、500万円未満の解体工事を行う場合に必要

なお、「軽微な建設工事」に該当し、解体工事業登録も不要とされる例外的なケース(例:他の工事に付随するごく小規模な解体作業など)もありますが、一般的な内装解体工事では基本的に登録が必要と考えておくべきでしょう。

建設リサイクル法の届出は発注者の義務

工事の規模によっては、解体業者側の許可とは別に、工事を発注するあなた自身にも「建設リサイクル法」に基づく事前の届出が義務付けられています。これは、解体工事によって発生するコンクリート塊や木くずなどの建設資材廃棄物を、適切に分別し、再資源化することを促進するために、対象となる工事について事前に計画を届け出ることが法律で定められているからです。

具体的には、解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上の内装解体工事を行う場合、発注者(つまり、あなた)は工事に着手する7日前までに、工事現場の都道府県知事などに対して届出書を提出しなければなりません。例えば、100平方メートルの店舗をスケルトン状態に戻す工事であれば、この届出が必要です。

項目内容
対象工事特定建設資材(コンクリート、木材、アスファルト・コンクリート等)を用いる建築物等の解体工事で、床面積の合計が80平方メートル以上のもの
届出者原則として発注者(業者による代行が可能)
届出先工事現場を管轄する都道府県知事等
届出時期工事着手の7日前まで
罰則届出を怠った場合、20万円以下の罰金が科されることがあります

多くの場合、手続きの煩雑さから、発注者からの委任を受けて解体業者が届出を代行することが一般的です。もし解体対象の床面積が80平方メートル以上になる場合は、業者に届出を代行してもらえるか確認し、必要な情報提供に協力しましょう。80平方メートル未満の場合は、この届出は不要です。手続きは業者さんが代行してくれることが多いので、まずは相談してみることをお勧めします。

500万円が分かれ道。あなたの工事で建設業許可は必要?不要?

内装解体工事において、建設業許可が必要かどうかは、工事費が税込みで500万円を超えるかどうかが大きな分かれ目となります。これは、建設業法により、一定規模以上の工事には許可が必要と定められているためです。500万円という金額を基準に、どのような場合に許可が必要で、どのような場合に不要となるのか、そして関連する「解体工事業登録」とは何か、具体的に見ていきましょう。

工事金額(税込)建設業許可解体工事業登録備考
500万円以上必要不要(注1)建設業許可(解体工事業など)を取得していればカバー
500万円未満不要必要(注2)軽微な建設工事に該当しますが、登録は必要です

注1:建設業許可(土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれか)を有していれば、解体工事業登録は別途不要です。

注2:建設業許可を持たない業者が500万円未満の解体工事を行う場合に、この登録が必要となります。

この記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。

  • 工事費500万円以上で建設業許可が必要な場合
  • 工事費500万円未満で建設業許可が不要な場合
  • 建設業許可と解体工事業登録の具体的な違い

これらの情報を理解することで、あなたの内装解体工事でどの許可や届出が必要になるのかが明確になり、適切な業者選定や法的なリスク回避に繋がるでしょう。

工事費500万円以上で建設業許可が必要な場合

請負代金が税込みで500万円以上の内装解体工事を行う場合、原則として建設業許可が必要です。これは、建設業法が、国民の生命や財産を守るために、一定規模以上の工事は技術力や経営基盤が確かな業者に限定することを目的としているからです。具体的にどのような業種の許可が必要になるのか、そして500万円という基準の根拠は何か、さらに契約を分割した場合の注意点について、詳しく見ていきましょう。

内装解体ではどの業種の許可が必要になるのか?

内装解体工事の場合、主に「解体工事業」の許可が必要となりますが、工事の内容によっては「内装仕上工事業」や「とび・土工工事業」の許可が該当することもあります。建設業許可は29種類の専門工事ごとに分かれており、行う工事の種類に応じて適切な業種の許可を取得する必要があるからです。

例えば、商業テナントの原状回復で天井、壁、床などをすべて撤去するスケルトン解体工事であれば、一般的に「解体工事業」の許可を持つ業者に依頼します。もし、解体後に間仕切り壁を新設するなど、内装仕上げ工事も一括で依頼する場合は、その業者が「内装仕上工事業」の許可も持っているか確認することが望ましいでしょう。

また、解体する対象が建物の一部ではなく、例えば大型の看板や独立した工作物の撤去といった場合は、「とび・土工工事業」の範囲となることもあります。

  • 解体工事業: 工作物の解体を行う工事。
  • 内装仕上工事業: 木材、壁紙、床材などを用いて建築物の内装仕上げを行う工事。
  • とび・土工工事業: 足場の組立て、重量物の運搬配置、くい打ち、掘削などを行う工事。

ご自身の工事がどの業種に該当するか迷った場合は、都道府県の建設業担当課や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。なお、主たる工事に付随する従たる工事(附帯工事)であれば、主たる工事の許可業者が施工できるケースもありますが、内装解体が主目的の場合は、基本的に上記の専門業種の許可が必要と考えておきましょう。

建設業法で定められた500万円という基準の根拠

建設業許可の要否が500万円という金額で区切られているのは、建設業法で「軽微な建設工事」については許可が不要と定められているためです。国民生活への影響が比較的小さい工事については、許可という厳格な規制を課さずとも、一定の質が担保されるという考え方に基づいています。

具体的には、建設業法第3条第1項ただし書き及び建設業法施行令第1条の2において「軽微な建設工事」が定義されています。内装解体工事のような建築一式工事以外の建設工事の場合、1件の請負代金が500万円(消費税込み)に満たない工事がこれに該当します。

例えば、店舗の一部分の内装解体で、費用が300万円だった場合、これは「軽微な建設工事」となり、業者は建設業許可を持っていなくてもその工事を請け負うことができます。

なお、「建築一式工事」(例:建物の新築や大規模な増改築)の場合は基準が異なり、請負代金1,500万円(消費税込み)未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事が軽微な工事とされます。しかし、通常の内装解体工事は建築一式工事にはあたりません。

重要なのは、500万円未満であれば「軽微な建設工事」に該当し、500万円以上(500万円ちょうどを含む)であれば原則として建設業許可が必要になるという点です。たとえ軽微な建設工事であっても、安全管理や適切な施工が求められることは言うまでもありません。

契約を分割しても合計金額で判断される点に注意

建設業許可の取得を避けるために、工事契約を意図的に分割したとしても、実質的に一つの工事とみなされれば、分割された契約の合計金額で許可の要否が判断されるため、注意が必要です。これは、法律の趣旨を不当に免れようとする行為を防ぎ、適正な工事の施工を確保するための措置です。

例えば、請負代金700万円の内装解体工事を、建設業許可が不要となるように、A工事350万円、B工事350万円という形で2つの契約に分けて同じ業者と契約したとします。しかし、これらの工事が同じ場所で、連続した時期に行われ、内容的に一体のものであると判断された場合、合計700万円の一つの工事として扱われ、建設業許可が必要となります。

「実質的に一つの工事」とみなされるかの判断基準には、工事の関連性、時期の近接性、施工主体の一貫性などがあります。

正当な理由(例:工事のフェーズが明確に異なり、それぞれ独立して発注できる内容である場合など)があって契約を分割する場合は問題ありません。しかし、許可逃れが目的と疑われるような分割は、行政指導の対象となる可能性があります。

発注者側も、無許可業者に実質500万円以上の工事を発注してしまうリスクがあることを認識しておく必要があります。

工事費500万円未満で建設業許可が不要な場合

請負代金が税込みで500万円未満の内装解体工事は、「軽微な建設工事」に該当し、建設業法に基づく建設業許可は不要となります。これは、建設業法において、比較的小規模な工事については許可取得の義務が免除されているためです。しかし、建設業許可が不要であっても、注意すべき点や別途必要となる手続きが存在します。

具体的にどのような工事が「軽微な建設工事」にあたるのか、そして建設業許可が不要な場合でも「解体工事業登録」は必要なのか、さらに請負代金に材料費が含まれる場合の考え方について、以下で詳しく解説します。

許可が不要になる軽微な建設工事の具体的な定義

建設業許可が不要となる「軽微な建設工事」とは、建築一式工事以外の建設工事で、1件の請負代金が500万円(消費税込み)に満たないものを指します。これは、建設業法施行令第1条の2で明確に定められています。

例えば、あなたが発注を計画している商業テナントの原状回復工事で、天井・壁・床のスケルトン解体にかかる費用が消費税込みで450万円だったとします。この場合、工事金額が500万円未満なので「軽微な建設工事」に該当し、解体業者は建設業許可を持っていなくてもこの工事を請け負うことが法的には可能です。

ただし、前述の通り、この工事が「建築一式工事」(例:建物の新築や、構造躯体に及ぶような大規模な増改築)に該当する場合は、軽微な工事の基準が異なり、「請負代金1,500万円(消費税込み)未満の工事」または「延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事」となります。通常の内装解体は、建築一式工事には該当しません。

したがって、判断のポイントは以下の2点です。

  1. 工事の種類: 建築一式工事か、それ以外の建設工事か(通常の内装解体は「それ以外の建設工事」)。
  2. 請負代金(税込): 500万円未満であるか。

たとえ「軽微な建設工事」に該当し建設業許可が不要な場合でも、依頼する業者が解体工事に関する十分な技術力や経験を持っているか、また見積書で工事内容と金額が適正かなどをしっかり確認することが、トラブルを避ける上で非常に重要です。

許可がなくても解体工事業登録は別途必要になる?

建設業許可が不要な500万円未満の内装解体工事であっても、その工事を行う業者は「解体工事業登録」を別途受けている必要があります。これは、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に基づき、解体工事を行う事業者は、工事規模の大小に関わらず、営業所を管轄する都道府県知事への登録が義務付けられているためです。

例えば、工事費が100万円の内装解体工事であっても、これを請け負う業者は解体工事業登録が必須です。この登録制度は、解体工事に伴って発生する建設廃棄物の適切な分別やリサイクルを促進することを目的としています。

ただし、例外があります。もし業者が建設業許可のうち「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」のいずれかを取得していれば、この解体工事業登録は不要となります。建設業許可が、解体工事業登録の要件を包含する上位の資格と考えると理解しやすいでしょう。

したがって、500万円未満の解体工事を発注する際は、以下の点を確認する必要があります。

  • 依頼する業者が建設業許可(土木、建築、解体のいずれか)を持っているか。
    • 持っていれば、解体工事業登録は不要で、工事を請け負うことができます。
  • 建設業許可を持っていない場合、解体工事業登録を受けているか。
    • 登録があれば、500万円未満の解体工事を請け負うことができます。
    • 建設業許可も解体工事業登録もどちらも持っていない業者が解体工事を行うことは、たとえ500万円未満の工事であっても違法となります。

発注者としては、業者の登録状況を各都道府県のウェブサイトなどで公開されている登録業者名簿を通じて確認することが可能です。無登録業者に工事を依頼した場合、罰則(例:1年以下の懲役または50万円以下の罰金)のリスクがあるため注意が必要です。

請負代金に材料費が含まれる場合の計算方法

建設業許可の要否を判断する際の「請負代金500万円」には、原則として材料費も含まれます。建設業法上の「請負代金」とは、工事の施工に関して発注者から請負業者へ支払われる対価の総額を指すため、材料費もその一部と考えられるからです。

具体的に、あなたが依頼する内装解体工事において、業者が提供する養生材、仮設材、廃材運搬用のコンテナなどの費用が見積書に含まれている場合、それらの費用も合算して500万円を超えるかどうかで判断します。

例えば、純粋な解体作業費が450万円で、業者が用意する養生シートや廃材を運搬するためのコンテナ費用、その他諸経費が合わせて60万円の場合、合計金額は510万円となります。この場合、500万円を超えるため、原則として建設業許可が必要な工事となります。

もし、工事に使用する材料(例:解体対象ではないが、工事に伴い一時的に取り外して再利用する照明器具など)を発注者自身が別途購入・支給し、その費用が業者への請負代金に含まれない場合は、その材料費は算入しません。ただし、これは実態として発注者が完全に手配し、業者への支払いとは切り離されている場合に限られます。業者が実質的に手配・管理しているとみなされる場合は、請負代金に含まれると解釈されることが一般的です。

したがって、請負代金を判断する際のポイントは以下の通りです。

  • 業者が工事のために提供・手配する材料や物品の費用か。
  • その費用が、業者への支払い総額(請負代金)に含まれているか。

見積書の内訳をよく確認し、何が請負代金に含まれているのかを明確にすることが重要です。不明な点があれば、業者に確認するか、都道府県の建設業担当部署に相談することをおすすめします。また、金額の判断は消費税込みで行うことも忘れないでください。

一目で分かる建設業許可と解体工事業登録の比較表

内装解体工事に関わる主要な許認可として「建設業許可」と「解体工事業登録」がありますが、これらは根拠となる法律や求められる工事の金額要件などが異なります。これらの違いを正しく理解することは、適切な業者を選び、法的な問題を避ける上で非常に重要です。混同してしまうと、必要な手続きを誤ったり、適切な業者選定ができなかったりする可能性があります。

例えば、工事費が300万円の内装解体の場合、建設業許可は不要ですが、解体工事業登録は必要です。一方、工事費が600万円の場合は、建設業許可(解体工事業など)が必要となり、この許可があれば解体工事業登録は別途不要になります。このように、工事の規模や業者が保有する資格によって、求められるものが変わってきます。

以下の表は、建設業許可と解体工事業登録の主な違いをまとめたものです。

項目建設業許可解体工事業登録
根拠法建設業法建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
目的建設工事の適正な施工の確保、発注者の保護、建設業の健全な発達解体工事の適正な実施、分別解体・再資源化の促進
必要な工事の金額原則として請負代金500万円(税込)以上の工事(軽微な建設工事を除く)金額要件なし(解体工事を行う場合は原則必要)
許可/登録の主体国土交通大臣または都道府県知事都道府県知事
業種区分29業種(内装解体は主に「解体工事業」)解体工事のみ
技術者の要件専任技術者の設置(営業所ごと)技術管理者の設置(営業所ごと)
有効期間5年5年
建設業許可があれば登録は不要か不要(土木、建築、解体のいずれかの建設業許可があれば解体工事業登録は不要)

この比較表を通じて、ご自身の工事でどちらの許認可が関連するのか、また依頼を検討している業者が持つべき資格はどちらなのかを判断する一助となれば幸いです。適切な許認可を持つ業者を選ぶことが、安心して工事を進めるための第一歩です。

撤去工事でも建設業許可は必要?解体工事との関係性を解説します

商業テナントの原状回復工事などで「撤去工事」を計画されている際、「解体工事と同じように建設業許可が必要なのだろうか?」と疑問に思われるかもしれません。結論から申し上げますと、撤去工事でも、その内容や規模によっては解体工事と同様に建設業許可が必要となるケースがあります。

これは、工事の対象となるものや工事の規模、目的によって、法律上「解体工事」として扱われるか、あるいは単なる「作業」として扱われるかが異なるためです。

具体的に見ていきましょう。例えば、単に不要になった物を運び出すだけの「撤去作業」とは異なり、建物の一部を取り壊したり、壁や床、天井に固定された大きな設備(例えば、厨房設備や大型の空調設備など)を解体して取り除く「撤去工事」は、法的には「解体工事」に該当する可能性が高くなります。そして、このような解体工事が一定の規模(具体的には工事1件の請負代金が税込500万円以上)を超える場合には、建設業許可が必要になります。一方で、簡単に移動できるテーブルや椅子、棚といった什器や家具を運び出すだけであれば、通常、特別な許可は必要ありません。

このように、一言で「撤去」といっても、その実態によって法的な扱いや必要な許可が変わってきます。ご自身の計画されている工事がどちらに該当するのか、その違いを正しく理解することが、適切な業者選定や法的手続きを進める上での重要な第一歩となります。この後のセクションでは、どのような場合にどの許可が必要になるのか、具体的な判断基準や各種許可の詳細について、さらに詳しく解説していきますので、ぜひ読み進めてください。

500万円未満の工事なら必須。解体工事業登録と技術者の要件

工事費が500万円未満の内装解体工事では、安全で適切な工事の実施と廃棄物の適正処理を法律で確保するため、原則として「解体工事業登録」の手続きが必要となり、工事現場には「技術管理者」を配置する義務があります。

これは、たとえ小規模な工事であっても、法律で定められた重要なルールです。解体工事業登録は、工事を行う都道府県ごとに申請し、登録を受ける必要があります。技術管理者については、解体工事に関する一定の資格を持っている人、または定められた期間以上の実務経験がある人がその役割を担うことになります。具体的には、国が定める技術資格の保有者や、長年にわたる解体工事の現場経験を持つ人などが該当します。

これらの要件を満たすことで、小規模な内装解体工事であっても、法令を遵守し、安全かつ適切に工事を進めることができるようになります。

解体工事で届出が不要なケースとは?建設リサイクル法の届出義務

内装解体工事を進めるにあたり、多くの発注担当者様が気にされるのが「建設リサイクル法の届出は必要なのか?」という点でしょう。結論から申し上げますと、工事対象となる床面積が80平方メートル未満の場合、建設リサイクル法の届出は基本的に不要です。

なぜなら、建設リサイクル法は、特定建設資材(コンクリート、木材、アスファルトなど)を用いた建築物などの解体工事や新築工事などで、一定規模以上の工事に対して、分別解体や再資源化を義務付け、その実施にあたって事前の届出を求めている法律だからです。そのため、比較的小規模な内装解体工事は、この法律の対象外となるケースが多いのです。

具体例を挙げると、小規模な店舗やオフィスの一部分をリニューアルする際に内装を解体する場合、その解体する箇所の床面積が80平方メートルに満たなければ、原則として建設リサイクル法に基づく都道府県知事への届出は必要ありません。

ただし、注意点もございます。自治体によっては、国の定める基準とは別に、独自の条例でより小規模な工事に対しても届出を義務付けている場合があります。そのため、工事に着手する前に、管轄の自治体の情報を確認することをおすすめします。もっとも、届出が必要な場合であっても、多くの場合は解体業者が発注者に代わって届出の手続きを代行してくれますので、業者選定の際に確認してみると良いでしょう。

このように、床面積80平方メートルが一つの目安となりますが、詳細については別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。ここではまず、届出が不要になるケースの概要をご理解いただければ幸いです。

無許可業者に注意!「知らなかった」では済まない罰則とリスク

内装解体工事を無許可の業者へ依頼すると、発注者様自身も罰則を受けたり、工事が中断したりする重大なリスクが生じます。そのため、無許可業者への依頼は絶対に避けなければなりません。

法律で定められた許可を持たない業者による工事は違法行為であり、トラブル発生時には発注者様にも責任が及ぶ可能性があります。加えて、無許可業者は必要な技術力や遵法精神が低い場合が多く、質の悪い工事や不法投棄といった問題を引き起こしやすいのです。

具体的に、どのようなリスクがあるのでしょうか。

まず、無許可での工事が発覚した場合、工事業者だけでなく発注者様も罰則の対象となることがあります。

例えば、建設業法では、無許可で500万円以上の解体工事を行った場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されると定められています。また、廃棄物の不法投棄が行われた場合、排出事業者である発注者様も廃棄物処理法に基づき罰せられる可能性があります。「知らなかった」では済まされない、厳しい罰則が待っているのです。

次に、工事の中断や追加費用の発生リスクです。

無許可工事が明らかになれば、行政指導により工事が即刻中断されることもあります。そうなれば、工期が大幅に遅延し、店舗の再開や引き渡しスケジュールに深刻な影響が出るでしょう。さらに、正規の許可業者に工事を再依頼するための追加費用が発生するケースも少なくありません。

そして、万が一の事故の際に適切な補償が受けられない可能性も考慮すべきです。

無許可業者は、工事中の事故に備えるための損害賠償保険に加入していない、あるいは適切な保険に加入していないことが多く見られます。もし事故が発生しても、十分な補償が受けられず、発注者様が不利益を被る事態も想定されます。

このように、無許可業者への依頼は、目先のコストを抑えるどころか、かえって大きな金銭的損失や法的なトラブルを招く危険性をはらんでいます。法令を遵守し、必要な許可を持つ信頼できる業者を選ぶことが、安心して内装解体工事を進めるための絶対条件と言えるでしょう。

許可や届出は誰が行う?発注者と業者の役割をQ&Aでスッキリ解決

内装解体工事を進める上で必要な許可や届出は、工事を依頼する発注者さまと工事を行う業者の両方に関係しますが、それぞれが担当する役割は法律で決められています。これは、工事の安全や廃棄物の適切な処理などを確実に行うために、誰がどの責任を負うのかをはっきりさせる必要があるからです。

このセクションでは、複雑に思える許可や届出について、誰が何をすべきなのか、その役割分担をQ&A形式のように分かりやすく解説します。具体的には、以下の項目について詳しく見ていきましょう。

  • 建設業許可などの許認可は工事業者が取得するもの
  • 発注者には業者の許可番号を確認する責任がある
  • 建設リサイクル法の届出義務は原則として発注者にある
  • 産業廃棄物の処理責任は排出事業者である発注者にもある

これらのポイントを押さえることで、発注者さまも工事業者さまも、安心して工事を進めるための準備ができます。

建設業許可などの許認可は工事業者が取得するもの

内装解体工事を行うために必要な「建設業許可」や「解体工事業登録」といった資格は、工事を実際に請け負う業者があらかじめ取得していなければならないものです。これらの許可や登録は、業者が安全で確実な工事を行うための技術力や経営力を持っていることを示す大切な証明であり、工事の品質を守るために法律で定められているからです。

例えば、工事の金額が500万円以上になるような大きな内装解体工事の場合、業者は「建設業許可」を持っていなければなりません。この許可には、工事の種類に応じて「解体工事業」や「内装仕上工事業」などがあります。許可を得るためには、専門の技術者を置いたり、一定の財産的な基礎があることなどが条件になります。もし工事金額が500万円未満でも、解体工事を行う場合には「解体工事業登録」が必要です。こちらも、長年の実務経験がある人や国が定めた特定の資格を持つ人などの技術管理者を置くといったルールがあります。これらの許可や登録には有効期限があり、定期的に更新が必要であることも覚えておきましょう。これらの資格がない業者は、そもそもそういった工事を請け負うことができません。

したがって、発注者さまは、依頼する業者がこれらの許可や登録をきちんと持っているかを確認することが重要です。

発注者には業者の許可番号を確認する責任がある

工事を依頼する発注者さまには、お願いしようとしている業者がきちんと「建設業許可」や「解体工事業登録」を持っているか、その許可番号を確認する大切な役割があります。もし許可を持っていない業者に依頼してしまうと、工事の質が悪かったり、思わぬトラブルが起きたり、最悪の場合、発注者さま自身も法律的な問題に巻き込まれる可能性があるからです。

業者のホームページや名刺に書かれている許可番号を、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」や、各都道府県のホームページで調べてみましょう。そうすることで、本当に許可を持っているのか、許可の種類は何か、有効期限は切れていないかなどを確認できます。もし業者が許可番号を教えてくれなかったり、調べても情報が出てこなかったりした場合は、注意が必要です。実際に、確認を怠ったために無許可の業者に依頼してしまい、手抜き工事をされて追加のお金がかかったり、工事が途中で止まってしまったりするケースも報告されています。場合によっては、発注者さまも法的な責任を一部負う可能性もあるため、事前の確認は非常に重要です。

この確認作業は、安心して工事を任せられる業者を選ぶための第一歩と言えるでしょう。

建設リサイクル法の届出義務は原則として発注者にある

お店の床面積が80平方メートル以上の内装を解体する場合、建設リサイクル法という法律に基づいて事前に役所へ届出をする必要がありますが、この届出の義務は原則として工事を依頼する発注者さまにあります。建設リサイクル法は、解体工事で出るコンクリートや木材などの資材をきちんと分別して、できるだけリサイクルすることを目的とした法律です。その工事の責任者である発注者さまが、計画通りに進めることを約束するために届出をすることになっているのです。

具体的には、工事を始める7日前までに、どのような工事をするのか、どのように分別解体するのかなどを書いた書類(工事の場所、発注者・受注者の名前、解体する建物の種類、リサイクルする資材の量などを記載)を、工事場所を管轄する都道府県知事または特定行政庁の長(市役所・区役所など)に提出しなければなりません。ただ、この手続きは少し専門的で手間がかかるため、実際には工事を請け負う業者が発注者さまから委任状を受け取り、代わりに手続きを行うことがほとんどです。しかし、たとえ業者に代行してもらったとしても、法律上の届出の責任は発注者さまにある、ということを覚えておくことが大切です。業者に代行を依頼する際には、委任状を用意し、提出される届出の内容もしっかり確認するようにしましょう。

産業廃棄物の処理責任は排出事業者である発注者にもある

内装解体工事で出たゴミ(産業廃棄物)をきちんと処理する責任は、工事を行った業者だけにあるのではなく、工事を依頼した発注者さまにも「ゴミを出した人(排出事業者)」として、一部責任が及ぶことがあります。これは、廃棄物処理法という法律で、産業廃棄物を出した人が、そのゴミが最後まで正しく処理されることを見届ける責任があると決められているからです。

例えば、解体業者がゴミの収集運搬や処分の許可を持っていない業者に処理を委託してしまったり、山の中などに不法に捨ててしまったりした場合、ゴミを出した張本人である発注者さまも、役所から「ゴミを片付けなさい」という措置命令を受けたり、罰金を科されたりする可能性があります。そうならないためにも、工事を頼む業者が産業廃棄物処理の許可をちゃんと持っているか、マニフェストというゴミ処理の流れを記録する書類(ゴミが正しく処理されたかを確認できる重要な書類)をきちんと発行してくれるかなどを、事前にしっかり確認することがとても重要です。業者を選ぶ際には、過去に行政処分を受けていないかなども確認しておくと、より安心です。もし不法投棄などが見つかった場合、発注者さまが負う可能性のあるリスクには、措置命令や罰金だけでなく、社会的な信用を失うといったことも含まれます。

適切な業者選びと処理方法の確認が、こうしたリスクを避けるために不可欠です。

「許可は不要」は危険なサイン。無許可・悪徳業者の見分け方

内装解体工事を依頼する際に、「許可は不要です」と説明する業者や、通常よりも著しく安い見積もりを提示してくる業者には、十分な注意が必要です。これらは、適切な許可を持たない、いわゆる悪徳業者が発する危険なサインである可能性が高いと考えられます。

なぜなら、そのような業者に依頼してしまうと、ずさんな工事が行われたり、解体で出た廃棄物が不法に投棄されたり、後から高額な追加費用を請求されたりするなど、様々なトラブルに巻き込まれるリスクが格段に高まるからです。安心して工事を任せるためには、怪しいサインを見抜く知識が不可欠です。

具体的に、注意すべき危険なサインとその見分け方について解説します。

  • 「許可は必要ありません」「当社なら特別に安くできます」というセールストーク:

工事内容や金額によっては、建設業許可や解体工事業登録が法的に必須です。安易に「不要」と断言したり、根拠なく極端な安さを強調したりする業者は、法令遵守の意識が低いか、何か隠している可能性があります。

  • 詳細な内訳のない「一式」ばかりの見積書:

信頼できる業者の見積書は、「解体工事費」「廃棄物処理費」「諸経費」など、費用の内訳が細かく記載されています。しかし、悪徳業者は「一式」という大雑把な表記でごまかし、後から「あれは含まれていなかった」と追加請求する手口を使うことがあります。特に、産業廃棄物の処理費用が適切に計上されているかは重要なチェックポイントです。

  • 契約をやたらと急がせる態度:

「今契約すれば安くします」「キャンペーンは今日までです」などと、発注者に考える時間を与えず契約を急がせる業者は警戒が必要です。じっくり比較検討されると都合が悪い何かがあるのかもしれません。

  • 会社の情報が不透明:

会社の公式ホームページが存在しない、または情報が乏しい、事務所の所在地がレンタルオフィスやバーチャルオフィスである、電話番号が携帯電話のみといった場合も、実態が掴みにくいため注意が必要です。国税庁の法人番号公表サイトで会社名や所在地を検索し、実在する法人かどうかを確認するのも一つの方法です。

これらのサインにいち早く気づき、慎重に業者を選定することが、内装解体工事におけるトラブルを未然に防ぎ、安心して工事を進めるための第一歩となります。

実例で学ぶ!内装解体でよくあるトラブル事例と回避策

内装解体工事では、実際に起こりうるトラブルの事例と、それを避けるための具体的な方法をあらかじめ知っておくことが重要です。そうすることで、多くの心配事を事前に取り除き、安心して工事の準備を進めることができます。なぜなら、内装解体工事に関する知識が少し足りなかったり、事前の準備が十分でなかったりすると、ご近所の方との間の問題、法律違反、予定外の出費といった、思わぬ大きなトラブルにつながってしまうことがあるからです。

たとえば、工事を始める前に近隣の方々へきちんとご挨拶や説明をしなかったために、工事の音や揺れに対する苦情が出て工事が一時止まってしまうことがあります。これは、事前に工事の期間や内容、連絡先などを伝えておくことで、多くの場合防げるトラブルです。

また、古い建物に使われていることがあるアスベストという有害な物質の調査をせずに解体作業を進めてしまい、作業員や周囲の方の健康に影響が出たり、行政から厳しい注意を受けたりするケースも見られます。アスベストの有無は専門業者による事前調査が法律で義務付けられており、これをおこたると重大な問題に発展します。

さらに、費用が安いという理由だけで業者を選んでしまった結果、解体で出たゴミが法律違反の方法で捨てられてしまい、工事を依頼した発注者様が責任を問われるという事態も起こりえます。廃棄物の適正な処理は非常に重要であり、信頼できる業者選びが不可欠です。

これらの困った状況は、事前に正しい情報を得て、信頼できる業者さんを選び、大家さんや近隣の方々としっかり話し合っておくことで、大部分は防ぐことができます。トラブルを未然に防ぎ、スムーズな内装解体工事を実現するためにも、過去の事例から学ぶことは非常に有益です。

失敗しない優良業者の見つけ方。許可番号の確認方法と見積書チェック

信頼できる優良な解体業者を見つけるためには、ご自身でいくつかの重要なポイントを確認することが大切です。なぜなら、業者選びを間違えると、法的なトラブルに巻き込まれたり、不当に高額な費用を請求されたりするリスクがあるからです。

具体的に確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 許可の有無と番号の確認: まず、業者が「建設業許可」や「解体工事業登録」といった必要な許可を保有しているかを確認しましょう。許可番号を聞き出し、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」などで実際に登録されているか照合することが重要です。これにより、無許可業者との契約リスクを避けられます。
  • 見積書の詳細確認: 見積書が「一式」といった大雑把な記載ではなく、「解体作業費」「廃棄物処理費」「養生費」「諸経費」など、項目ごとに詳細な内訳が明記されているかを確認します。これにより、費用の透明性が確保され、後からの不当な追加請求を防ぐことにつながります。
  • 損害賠償保険の加入状況: 万が一の工事中の事故(例えば、隣接物への損害や作業員の負傷など)に備え、業者が適切な損害賠償保険に加入しているかを確認しましょう。保険証券のコピーを提示してもらうのも有効です。
  • 施工実績の確認: これまでの施工実績、特にご自身の工事内容(商業テナントの原状回復など)と類似した案件の実績があるかを確認します。経験豊富な業者であれば、スムーズで質の高い工事が期待できます。

これらのポイントを一つひとつ丁寧に確認することで、安心して工事を任せられる優良な業者を選ぶことができます。面倒に感じるかもしれませんが、トラブルを未然に防ぎ、納得のいく内装解体工事を実現するためには不可欠なステップです。

円滑な工事の秘訣。貸主や近隣住民への挨拶・根回し完全マニュアル

内装解体工事を、関係者全員が気持ちよく、そしてスムーズに進めるためには、工事が始まる前に、建物の貸主や管理会社、そしてご近所の方々に、きちんとご挨拶をして、工事についてお話しする「根回し」が、非常に大切になります。

なぜなら、事前に「このような工事を行います」と丁寧に伝え、皆様にご理解とご協力をいただくことで、「工事の音がうるさいのではないか」「何か問題は起きないだろうか」といった不安や、実際に起こりうるトラブルを大幅に減らすことができ、結果として工事が計画通りに進みやすくなるからです。

例えば、建物の貸主や管理会社には、いつからいつまで工事を行うのか、どの範囲を解体するのか、そしてどの業者が工事を担当するのかを正確に伝え、書面などで正式な承諾を得ることが不可欠です。これにより、後々の「言った・言わない」といった問題を避けることができます。

また、近隣にお住まいの方々や、同じ建物内で営業されているテナント様へは、工事の期間や具体的な作業時間、工事によって発生する可能性のある音や振動について、そして万が一何かあった場合の緊急連絡先を明記したお知らせをお渡しし、可能であれば工事責任者が直接お伺いしてご挨拶することが、お互いの信頼関係を築き、安心感を与える上で非常に効果的です。

このセクションでは、円滑な工事を進めるための心構えとして、なぜこうした事前のコミュニケーションや準備が重要なのか、その基本的な考え方をお伝えしています。具体的な挨拶回りの際にお渡しする書面の文例や、貸主への承諾を得るための詳細なチェックリストといった、より実践的な方法については、この後の記事の各項目で詳しく解説していきますので、どうぞご安心ください。

まずは、関係者との良好なコミュニケーションが、スムーズで安心な内装解体工事を実現するための最も重要な第一歩であることをご理解いただければ幸いです。

【事業者様向け】許可取得で事業拡大へ。申請ロードマップを解説

事業者様が内装解体に関連する許可を取得することは、事業規模の拡大と顧客からの信頼獲得に不可欠です。なぜなら、建設業許可などの公的な認可は、法令を遵守している証であり、500万円以上の高額案件を受注する資格を得られるだけでなく、許可業者としての社会的信用が顧客からの信頼に繋がり、競合他社との明確な差別化を可能にするためです。

許可を取得することで、これまで参入障壁の高かった大規模な内装解体工事や、公共工事などへも挑戦の道が開けます。これは、企業の売上向上と安定的な事業運営に大きく貢献するでしょう。また、顧客は、特に高額な工事を発注する際、法的な問題を抱えるリスクを避けるため、正規の許可を持つ信頼できる業者を選びたいと強く望んでいます。許可を保有していることは、その期待に応える最も直接的で強力なアピールポイントとなります。

許可取得までの道のりは、一般的に以下のステップで進みます。

  • ステップ1:許可要件の確認

経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(例:経営業務の管理責任者の設置)や、専任技術者の配置など、取得したい許可の種類に応じた人的・財産的要件を満たしているかを確認します。

  • ステップ2:必要書類の準備

申請書や添付書類(例:登記簿謄本、財務諸表、技術者の資格証明書、実務経験証明書など)を正確に収集・作成します。

  • ステップ3:管轄行政庁への申請

準備した書類一式を、本店所在地を管轄する都道府県知事または地方整備局長など、該当する行政庁の窓口に提出します。

  • ステップ4:行政庁による審査

提出された書類に基づいて、許可要件を満たしているかどうかの審査が行われます。審査期間は申請する許可の種類や行政庁によって異なりますが、一般的に1ヶ月から2ヶ月程度かかる場合があります。

  • ステップ5:許可通知書の受領

審査を通過すると、許可通知書が交付され、晴れて許可業者として活動を開始できます。許可番号は、見積書や契約書、ウェブサイトなどに明記し、顧客への信頼性をアピールしましょう。

許可申請手続きは複雑で、多くの書類準備や専門知識が求められます。ご自身で対応することも可能ですが、行政書士などの専門家に依頼することも有効な選択肢です。

  • メリット
    • 煩雑な書類作成や手続き代行により、本業に専念できる時間と労力を確保できます。
    • 専門家による的確なアドバイスと書類作成により、申請の不備による手戻りリスクを低減し、スムーズな許可取得が期待できます。
  • デメリット
    • 専門家への依頼費用が発生します。
  • 専門家を選ぶ際のポイント
    • 建設業許可や解体工事業登録など、内装解体業に関連する許可申請の実績が豊富か。
    • 料金体系が明確で、事前に見積もりが提示されるか。
    • 相談しやすく、コミュニケーションが円滑に取れるか。

計画的に許可を取得することは、単に法的な要件を満たすだけでなく、貴社の事業基盤をより強固なものにし、安定した受注と持続的な成長を実現するための重要な投資と言えるでしょう。

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